正中頸嚢胞 (4)

成人男性の正中頸嚢胞です。

 正中頸嚢胞に対してもOK-432嚢胞内注入療法は有効ですが、ガマ腫よりは有効率は低くなりま す。また、ガマ腫の場合はOK-432を入れて待っていればほとんどの例でガマ腫は消失しますが、正中頸嚢胞の場合はOK-432を入れた後、しばらくし て内容液の吸引処置を追加しないと治らない例があります。従って、1回の受診では済まない場合が多く、私は遠方からの患者さんの受診は原則としてお断りし て参りました。
 この患者さんは予約無しで県外より突然受診され、どうしても治療を希望されるとのことでした。たまたまOK-432の在庫がありましたので、前述のことを十分お話して納得していただいた上で、治療をいたしました。
上左が治療前ですが、のど仏の直上に腫れが認められます。正中頸嚢胞としては大きいほうです。注射器で内容を吸引しますと、褐色の濁った液体が10ml近く吸引されました。その後、OK-432 1KEを2mlの生理食塩水で希釈したものを注入しました。OK-432嚢胞内注入療法翌日には嚢胞部の皮膚の発赤と腫脹の増大が認められました。この患者さんでは、追加の治療をしなくても順調に嚢胞の縮小が認められました。
  この患者さんはたまたま1回の受診で改善しましたが、私は正中頸嚢胞の場合は、できるだけ無理なく頻回に通院できる施設で治療をうけるべきと考えておりま す。といっても、正中頸嚢胞に対してこの治療を行う医師がそれほどいるわけでもありません。たくさんの患者さんから、医師を紹介して欲しいとメールをいた だきますが、なかなかご期待には添えません。
この患者さんのブログは、たまたま私の頼める医師がいたのでお願いすることができたのですが、今はその先生も辞められてしまって頼む事ができません。

わたしは、今は正中頸嚢胞はまずは吸引を繰り返してみるだけでも良いのではと思っております。


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