この患者さんは、30代女性の左顎下型ガマ腫です。このホームページをご覧いただき、わざわざ県外から私の医院を受診されました。上左は初診時の写 真です。穿刺直前に撮った写真ですので、消毒の色がついていますが、左の顎下が腫脹しているのがお分かりいただけると思います。地元の病院で撮られた MRI写真を持参していただきましたが、「MRI写真が撮られてから時間がたっていたため、嚢胞の場所が写真とずれてきていると考えられたこと」、「腫れ の少ない時期に受診されたこと」、「嚢胞は主に顎下腺の裏面を中心に存在したこと」などから、なかなか嚢胞に注射針が届かず苦労しました。しかし、なんと か嚢胞を穿刺することができ、写真のような粘液を吸引しました。血液が混じっているのは、穿刺の時に血管に当たってしまったためです。内容液の塗抹標本の 細胞診もガマ腫に矛盾しない所見でした。穿刺が難しい例であり、多量に内容を吸引すると針先が嚢胞からずれるおそれがありましたので、内容液の吸引は最小 限（2ml）にとどめて、2mlに希釈したOK-432 1.0KEを嚢胞内に注入しました。治療翌日の写真を見ていただくと、初診時に比べて、左顎下の腫脹が強くなっていることがお分かりいただけると思いま す。OK-432治療に対する反応は十分と考えられました。大きな副作用が無いことを確認して、帰っていただきました。その後、定期的にメールで写真を 送っていただきました。治療2週間くらいは腫れが続きましたが、その後、腫れはゆっくりと縮小しました。治療２ヶ月後の写真ではきれいに腫れが無くなって いるのがお分かりいただけると思います。
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