耳血腫(7)

成人男性の左耳血腫です。外傷やスポーツなどのはっきりした原因は無く原因不明の耳血腫です。他医耳鼻科で2回吸引しても翌日にはまた腫れていたとのことで、別の耳鼻科を受診。そこでも、吸引治療を受けましたが、すぐに腫れが戻ったとのことで、当院をご紹介いただきました。

初診時に、高濃度OK-432注入法でOK-432 0.5KEを血腫内に注入いたしました。写真は注入したOK-432 です。



治療4日後までの経過です。翌日には赤く腫れが強くなり、その腫れが日を追う毎に強くなっているのがお判りいただけると思います。4日後に内容液を抜きに来ていただきました。



腫れの強い部分3カ所を吸引して、内容液を抜きました。右が抜いた後です。まだまだ腫れは強く、皮下の腫れも強い事がお判りいただけると思います。



14日後までの経過です。だんだん腫れは引いて来ています。14日目に診察に来ていただきました。


プクプクしている場所を穿刺して、1ml程度の血性の内容液を吸引しました。塗抹して顕微鏡で見ますと、まだ好中球などの炎症細胞が混じっております。



その後の経過です。6週間後には、ぷくぷくした腫れが無くなりました。



8.5週間後の左右の比較です。すこしだけ、右耳に腫れぼったい感じが残っています。しかし、触っても液が溜まっている感じはなく、おそらく皮膚が炎症で 腫脹した印象です。時間が経てば、腫れがひいて行く事を期待しております。また、手術をしたとしても、これよりきれいにに治るとは思えません。

耳血腫は、耳介軟骨と耳介皮膚の間の血管が切れて血液が溜まったものと考えられます。OK-432の炎症産生された炎症産物により出血点が止血されると考 えています。ただ、ここには軟骨と皮膚しか組織はありませんので、溜まった液体はなかなか吸収されません。本例の様に内容液の吸引を追加する必要がある場合が普通です。このため、耳血腫に対するOK-432嚢胞内注入療法は通い易い施設で行うべきです。

トップページに戻る
(クリックしますと「OK-432嚢胞内注入療法」のトップページに移動します。左にフレーム「見出し」が見える場合は、見出しから各項目への移動をお願いいたします。)